生まれてはじめて弾いた曲、「ゴージャス」です

清水 どうして? 当時大人気のドラマだったでしょう。

杉本 「セーラー服着るなんて、なに?」って。まあ、けっこうとんがってましたから(笑)。でも事務所としては、当然モデル以外の仕事もしてほしいわけですよ。「ドラマかバラエティのどちらかには出てほしい」という究極の選択で、逸見政孝さんが司会をしていらした音楽バラエティ『夜も一生けんめい。』に出ることにしたんです。まだ通いだった頃は、土曜に『オールナイトフジ』もあって、ほんとに憂鬱だった。

清水 ずいぶん落ち着いていた印象があるけど。

杉本 「嫌そうなのが顔に出てる」って言われてました。今だから言えますけど、楽屋でお酒飲んでましたもん(笑)。嫌というより、どう振る舞っていいかよくわからなかったんだと思う。

武井 そんな彩さんが、どこからか雌豹になっていったわけですね。

杉本 気がついたらどんどんそういう仕事を入れられて。こんなはずじゃなかったんだけどな、と心の隅で思いながら、忙しさに呑み込まれていった感じ。

武井 僕、彩さんとはちょっとしたゆかりがあって。昔、友人とジャズバーに行った時、かかってる音楽がわからないからまるで楽しめなかったんですよ。悔しくて、衝動的にピアノを買っちゃった、音符も読めないのに。届いて、人指し指であてずっぽうにタンタン、タンタンやってたら、「ん? どこかで聴いたことあるな」って。彩さんの「ゴージャス」だったんですよ!(笑)

杉本 やだ、面白すぎる!

武井 生まれてはじめて弾いた曲、「ゴージャス」です。あの曲、3音だけで弾けて。すごい嬉しかったんですから。

清水 ここでつながった。(笑)

武井 だから、ご縁なんです!

杉本 ああ、おかしい。それ、バブルの頃よね。確かに、ちょっと野獣系で売ってた時期かも。

武井 「百獣の女王」。(笑)

後編につづく