玉川上水沿いの遊歩道を歩く久住さん(撮影:大河内禎)
『孤独のグルメ』の原作者である久住昌之さん。グルメのみならず、歩くことに関しても多くの著作があります。普段の散歩ではゴールにすることもあるという食堂で、とっておきのおたのしみについて聞きました。(構成=山田真理 撮影=大河内禎)

どんどん道に迷うといい

僕の自宅から吉祥寺の仕事場まで、歩くと30分くらいかかります。家を出る時は、「30分かぁ。バスに乗っちゃおうかな」と思うんだけど、乗らずに歩き始めたら、もう最後まで歩かないとしょうがないじゃない?

すると学校の横で給食を作っている匂いがして「今日の献立は何だろう」なんて考えたり、洗車中のおじさんを見て、「こんな天気のいい日に車を洗うと気持ちいいだろうなあ」と想像したり。

それが、僕にとっての散歩です。つまり「これから散歩に行くぞ!」と決意して行くような、大げさなもんじゃない(笑)。あるいは「運動のために歩こう」というと、それはウォーキングになっちゃう。