『くたびれないごはんづくり』(著:婦人之友社編集部/婦人之友社)

「調理定年」を迎えたら

体力が落ち、調理定年を迎えたら、「手づくり主義」は続きません。老いの食生活を支えてくれるものは、この20年でずいぶん進化しました。私も人の手を借りたり、レトルト、鍋の素などを常備して活用しています。

「歩いて買い物、近くに仲間、ちょいと稼げる仕事があって、ともに語らい、ともに食、こんな街で私は老いたい」

講演で都々逸風に唸ると、けっこう受けるのですが、これは私がこんなふうに過ごしたいという願いです。買い物は、自分で商品を選んで買うという選択と決定の場で、楽しい行為です。本来は自力でスーパーへ行きたいところですが、それが難しくなってきたら生活協同組合や少量でも配達してくれる地域の商店を見つけておくこと。

また、人とのコミュニケーションも大切で、体力づくりにひとりでせっせと筋トレをするより、ワイワイガヤガヤと仲間でラジオ体操をしたほうが、元気でいられるという話もあります。

これからの社会に期待したいのは、地域にひとつ高齢者カフェができること。メニューはカレー、おでんなど決まりきったものでいい。そういう一種の集いの館があれば、孤立する人も減るし、最低限の食生活を営めるのではないかと考えています。