2年ぶりに名古屋・ドルフィンズアリーナで開幕した大相撲七月場所は、6場所連続休業から復帰した横綱・白鵬の全勝優勝で幕を閉じました。3月の春場所、5月の夏場所を連破した照ノ富士も、白鵬の勢いを止められず、綱取りは場所後の臨時理事会に委ねられそうです。敢闘賞受賞の前頭11枚目・琴ノ若など、楽しみな力士も。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が夏場所に続き、今場所もテレビ観戦記を綴ります

第3回 横綱、奇妙な相撲はやめましょう。白鵬、照ノ富士、力と技の美で千秋楽の大一番を!、はこちら

土俵上で勝利の雄叫びを

大相撲名古屋場所千秋楽は、横綱・白鵬と大関・照ノ富士の全勝対決となり、白鵬が優勝した。6場所連続休場、膝の手術から復活した36歳。白鵬って凄い!と、素直に感動できたら楽しいのだけれど…。白鵬が独自に築いている世界がわからない。

立合いのにらみ合いの長さ、照ノ富士に先に仕切りの手をつかせる度胸、立合いに張り手を見せ、サポーターをした腕でキツイかち上げをかますダブル攻撃、取組中の照ノ富士を怒らせるような張り手、捨て身の小手投げ。そして、土俵上ではありえない勝利の雄叫び。

全部を「勝ち」につなげる闘争心の前には、相撲の美とか横綱の品格とか煩わしいだけだ、というのは理解できた。

私は、ずっと照ノ富士が勝つと思っていた。しかし、桟敷で観戦する白鵬の家族がテレビに映ったとき、白鵬は絶対に勝つと思い直した。引退を意識したとしても、家族の目の前では白鵬の闘争本能が発揮され「勝つ」というのがわかった。