2年ぶりに名古屋・ドルフィンズアリーナで開幕した大相撲七月場所も、千秋楽を残すのみとなりました。6場所連続休業から復帰した横綱・白鵬は蓋を開ければ土つかずで14日目。3月の春場所、5月の夏場所を連破し、綱取りがかかる照ノ富士も、プレッシャーを感じさせずこれまた無敗。千秋楽、全勝の横綱・大関直接対決はどうなるのか、目を離せません。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が夏場所に続き、今場所もテレビ観戦記を綴ります

第2回 前半戦を終え、横綱・白鵬と大関・照ノ富士は8連勝。ぎっくり腰の高安は?、はこちら

横綱VS大関、全勝同士の直接対決

大相撲名古屋場所は14日目を終え、横綱・白鵬と大関・照ノ富士が全勝で並び、千秋楽の直接対決で優勝が決まる。昭和24年からわずか5回しか全勝同士の千秋楽での優勝決定はない、とNHKの藤井アナウンサーが14日目の放送で伝えていた。

初日にこの状況を予想した人がいたら、私は尊敬してしまう。

6場所連続休場で進退をかけた場所で復活した白鵬が勝つか、大関から病気と怪我で序二段まで落ち、そこから這い上がって横綱になろうという照ノ富士が勝つのか。どうなってしまうのだ? 四つに組んで力相撲になるぞ、ワクワクする! 楽しみだ! という期待感が、不安感に一変した。

結びで白鵬が大関・正代を相手に見せた奇妙な相撲のせいだ。
まさか、白鵬は、「俺はこんなこともするよ」と、照ノ富士を迷わせるためにやったのではないかと深読みまでしてしまった。

白鵬は、最後の仕切りでいきなり土俵際まで下がり、前進して正代にキツイ張り手をかまし、さらに張り手、そして組まずに見合い、最後は浴びせ倒しで勝った。

白鵬は誰かに叱られても、横綱の品格にそぐわなくても、なんでも試したくなる人だと私は思っている。かなり前にひんしゅくをかった「猫だまし」も、「猫だましってどんな感じ?」と実験したのではないかと思った。