2020年11月に〈馬友〉と出かけた紅葉台木曽馬牧場にて(写真提供:松岡さん)

60歳を機に、夫と乗馬も始めました。体幹が鍛えられるし、郊外の乗馬クラブで馬に乗ると気分が晴れます。週に1度はオフの日と決め、クラブに通うようになりました。絶対に交通事故を起こすわけにはいかないので、クラブへの運転は夫と交代で。ちょっとでも眠気を感じたら、車を止めて仮眠をとるように心がけていました。

70代からは近所のフィットネスにも通っていますし、自宅ではバランスボールに乗ってエクササイズしたり、リビングの椅子には、座布団がわりに体幹を鍛えるバランスクッションを敷いて座るようにして。とにかく全訳を終えるまで体を壊すわけにはいかないし、怪我も絶対に避けたい。そのため、できることはすべてやったつもりです。

 

シェイクスピアが近づいてきてくれた

振り返ってみると、若い頃はシェイクスピアに片思いでした。大学2年で英文科に進み、シェイクスピア研究会に入会するも、すぐに退会。難しくて、歯が立たないと思ったのです。その一方で、新入生歓迎公演で『夏の夜の夢』のボトム役を演じたことにより、舞台づくりの楽しさを知ってしまって。

英米のさまざまな戯曲を原文で読み出したのもこの頃から。演劇の魅力にとりつかれて、どんな形でもいいから芝居にかかわって生きていきたい、と思うようになりました。

大学卒業後は、演出をやりたいと思って劇団の研究生になりましたが、1年半やってみて、やはりシェイクスピアを学び直さなきゃだめだ、と一浪して大学院に入学。しかし院生時代にお見合い結婚をし、子どもが生まれ、シェイクスピアどころじゃなくなりました。