「汝のしたいことをなせ」
2021年6月26日、フランスのル・モンド紙に立花さんへの追悼文の記事が写真とともに大きく載った。追悼文はフィリップ・ポンス氏(同紙・元日本特派員)が書いたものである。
読むと、立花さんが若いころ経営していた新宿のバーの名前が「ガルガンチュア」であり、店に入ると、正面の壁に「汝のしたいことをなせ。」と、ラテン語で書かれた木板がかかっていたという箇所を読んで、私は茫然とした。
知らなかったのだ。店の名がラブレー作のガルガンチュア物語からとったものであることを。私は何という間抜けだったのかしら。
「汝のしたいことをなせ。」というフレーズはその物語に出てくるもので、有名である。ラブレーは権力をものともせず、この物語で、時代を鋭く風刺した。
『知的ヒントの見つけ方』の71ページに、こうある。
「よくよく考えてみると、〈FAY CE QUE VOUDRAS〉(汝のしたいことをなせ)のガルガンチュア精神は、私の人生において私の生き方を導くような役割を果たしてきた」と。