十勝の牧場でボス馬・勇気に話しかける(写真:『レストラン「ル ゴロワ」のレシピから-季節のごはんと暮らし方』より)
10月に放送開始から40周年を迎えるドラマ「北の国から」。一方でかつて東京・神宮前にあったフレンチの名店「ル ゴロワ」は予約の取れない人気店でしたが、「北の国から」を愛するオーナーシェフの大塚健一さんとマダムの敬子さん夫妻は北海道・富良野の森へ移住することを決意。店を閉めることになります。移住先で新生「ル ゴロワ」の開店を目指す二人でしたが、引っ越し直前に北海道は台風の直撃を受け――。

台風情報を見ながらの荷造り

2016年、富良野の初雪は10月21日だった。すっかり冬景色だが、夏の台風被害の爪痕が深く残っている。

8月から9月にかけて北海道に上陸した台風は、大きな被害をもたらした。大塚夫妻が住む富良野塾地も川が氾濫し物置などが流され、牧草地は壊滅。塾地への道も橋が崩落した。

夫妻は神宮前の店を完全に引き揚げ、荷物を北海道へ送る算段をしていたが、塾地への道が閉ざされたため、送れず、札幌に留め置きしていた。近隣の人々も含め、北海道の知り合いたちからは、「来年、台風が来ない保証はない。川がまた氾濫するかもしれない」と心配の声が寄せられた。

この年4度目の台風が富良野を襲った日。大塚夫妻は東京で引っ越しの荷造りに追われていた。筆者が訪ねたときは、スマホのワンセグ放送で台風状況を見ながら作業をしていた。

ひとつ前の台風のときは、牧草地は水没したが、家として使っている建物はやや高台に立っていたため、無事だった。ただ、今晩の台風でどうなっているか。頼みのスタッフ東誠一郎さんは、出張で札幌だ。塾地の様子は誰にもわからない。