101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『ものを減らすのもほどほどに』

合理的な整理整頓術に関しては、長年考えてきました。家も決して広くはないので、限られたスペースでいかに美しく気持ちよく暮らすかは、生活術のテーマでもあったのです。

そこで30代の頃、どこまで生活をシンプルにできるか試してみました。

食器は、お皿は白の大小、ごはん茶碗、和洋どちらにも使えるカップ、グラスに絞り、あとはとりあえず箱に詰めて物置へ。食事のたびにどのお皿を使おうかと迷うこともなくなり、家事の煩雑さが一気に減りました。

生活のうるおいも大切に(イメージ写真提供:写真AC)

ところがそんな生活をしばらく続けているうちに、なんだかつまらなくなってきました。

緑茶は趣きのあるお湯のみでいただいたほうが気分がいいし、味噌汁は汁椀でいただくから味わいがある。つまり器も含めて料理であり、生活のうるおいでもあるのでしょう。

生活の質は、合理的かどうかだけでは測れません。暮らしの彩りが心の豊かさにつながるのだと、実際に自分で試してみて、つくづく実感しました。

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