声だけで表現するのは難しいけど、そこが面白い(撮影◎岡本隆史)
公開中のアニメーション映画『岬のマヨイガ』で、主人公・ユイを演じている芦田愛菜さん。5歳で子役としての活動をスタートし、17歳の現在も、学業と両立しながら数々の話題作に出演している。役柄の内面を表現するために、心を砕いていることとは――(撮影=岡本隆史 構成=篠藤ゆり スタイリング=浜松あゆみ ヘアメイク=久慈拓路 衣装協力=Jane Marple Dans Le Salon〈セント メアリ ミード〉)

息遣いひとつで気持ちを伝える

普段お芝居をする時には、台詞に加えて表情や体の動きなどでその人物を作り上げていきます。でも、アニメーションで声優を務める時は声だけで表現しなくてはなりません。とても難しいのですが、そこが面白いですし、やりがいを感じるところです。この夏公開されるアニメーション映画『岬のマヨイガ』で、主人公・ユイを演じたことであらためてそう思いました。

ユイは、ある事情で居場所を失った17歳の女の子。岩手県のある場所でふしぎなおばあちゃん・キワさんに出会います。そして、事故で両親を亡くした8歳のひよりちゃんとともに、岬に建つ古民家 《マヨイガ》に住むことになるんです。

ユイの内面を表すのに、どんな息がしっくりくるのかを探す作業に時間をかけました(撮影◎岡本隆史)

過去につらいことがあって心を閉ざしてしまったユイは、不器用なところがあり少し不愛想な女の子です。自分の気持ちを言葉で表現することが少ないぶん、息を使って演技するところが多く、そこが難しかったです。

息の長さ、強さはもちろん、吐く息と吸う息など、息遣いひとつでも伝わる感情は違うと思います。それぞれの場面で、ユイの内面を表すのに、どんな息がしっくりくるのかを探す作業に時間をかけましたし、彼女の本来の優しさや思いやりが滲み出るようにと思いながら演じました。