まだまだ意欲があります
──これからライフワークとして、一葉作品と一葉関連の芝居を次々に演じてみる、というのはどうですか?
波乃 それは、お客さまさえ来てくだされば、やりたいですよ。『大つごもり』に『十三夜』。それから『にごりえ』。それと『明治の雪』(北條秀司作)。これはやりたいですね。樋口一葉と、その文学の師である半井桃水の物語。
そうそう、寺島しのぶちゃんが永井愛さんの『書く女』という芝居で一葉を演じるとき、永井さんに、「久里子さんの『明治の雪』を見ておいて」と言われたらしいの。それでビデオをお貸ししましたけどね。しのぶちゃんや松たか子ちゃんも新派の芝居、いろいろやってくれたらいいのにね。
──今後の新派はどうなっていくでしょうか。
波乃 歌舞伎から、喜多村緑郎さんと河合雪之丞さんという若い二人が来てくれましたからね。それに尾上松也さんの妹の春本由香も張り切ってますし、八重子お姉ちゃまも私もまだまだ意欲があります。コロナ禍での自粛生活でいろいろなことを考え直し、見つめ直しましたから、再開の幕があいたら今まで以上に大切に、心して舞台をつとめたいと思っております。