独り立ちするのが子の使命
思春期を迎えた人から「孤独なんです」という相談を受けるたびに、私は蟹の脱皮を思い浮かべます。蟹は甲羅だけでなく、内臓まで一緒に脱皮する。まさに命がけで生まれ変わるわけです。
人間も同じで、子どもだった一人の人間が大人に変わるためには大変なエネルギーが必要。この時期に両親が不仲であったり、あるいは離婚したり、その後に再婚して新しい家族が増えたりといったことがあると、土台が揺らいでオチオチ脱皮していられないという状況に陥ります。
命がけで脱皮しようという真剣な時期を迎えているときに、見守ってくれる人がいないというのは心細い。この心情を孤独だと表現するケースが多いようです。
けれど、親は見守ることしかできません。生まれた瞬間から一心同体で生きてきた親を離れ、独り立ちすることが子の使命なのです。外界へと飛び出し、家族以外の広い世界の中で自分の友を作っていくことが子どもの成長につながるのです。