ヨボヨボの我が家の老猫2と若い野良猫。

不死を達成した人は「史上最も不安な人々」

それにしても、自分の体が死なないことになったら、それもまた悲惨なことになり得るのかもしれません。ハラリ氏は『ホモ・デウス』で、不死を達成した人は「史上最も不安な人々となる」と書いています。なぜなら、永久に生きられるとしても、肝心の命がなくなったらそれまでなので、海で泳いだり、車が通る道を渡ったり、登山をしたり、多少とも命の危険があることはできなくなるのです。〈無限の人生をそんなことに賭けるのは馬鹿げている〉ということです。

いつか自分がこの世からいなくなってしまうと思うから、人生が充実することがあると思います。生きてるうちに何かを世に残そうと頑張っている人もいます。たとえが悪いかもしれませんが、(ぼくの場合でいうと)締め切りがあるからこそ原稿が書けるということです。生きている時間が極端に短い宿命にある人もいます。それでも必死に頑張っている人を見ると、感動と勇気をもらうことがあります。「ボーッと生きてんじゃねえよ!」と言われているような気持ちになることもあります。

もし、それほどお金がかからなくて不死を得ることができ、多くの人たちが死ななくなったとしたら、その人たちは何を考えて生きて行くのでしょうか。そういう人たちが集まっている公園があるとしたら、そこは穏やかな地獄のような気がします。

神はあえて人間に「死」を与えたのかもしれません。肉体が滅んだあと、霊として残るのかどうかはわかりませんけど。

 

※次回配信は10月14日(木)の予定です

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