「怒っている人は、困っている人」
もうおわかりだと思いますが、そんな子どもの問題行動を解決するため助けになるのは、親が子どもの本音の感情をしっかり聴いてあげることです。これは小さい子どもも、大人になった子どもも同じです。年齢は単なる数字でしかありません。
小さい頃に文字を習えなかった大人が、「いい年して」と言われようが「いろは」から学ぶしかないように、心の課題も、未成年期に健全に育たなかった大人は、子どもと同じレベルから始めるしかありません。いくら見てくれだけが大きくなっても、メンタリティの本質は小さな子どもと変わらないからです。それほど親の影響力は大きいのです。
ただ、未成年と違い、大人の本人は、「いい年して、年老いた親に自分はいつまでこんな子どものようなことを言っているのだろう」という罪悪感にも苛(さいな)まれているので、この葛藤による苦悩が未成年以上に感じるつらさをふくらませていることは忘れてはいけません。
「怒っている人は、困っている人」
これは、心理学の世界でしばしば言われることです。心の病や行き詰まりを抱えた人が怒るのは、本当は怒りたいからではなく、その背後に不安、寂しい、悲しいといった本音の感情(一次感情)があるからです。
それがつらすぎるからなんとかしたいけど、つらすぎて向き合えないために、本音に蓋をして悪あがきしたり回避したりする。それがどんどん蓄積してふくらみあふれ出したものが、怒りや衝動行為なのです。