必要なのは「聴く耳」と「見極める目」

これは、夫婦ゲンカも同じです。奥さんが旦那さんに向かって怒鳴るのは、怒鳴りたいからではなく、自分の話をきちんと誠実に聴いてくれなかったり、気持ちを理解してくれなかったりするのが、不安だったり、悲しかったり、寂しかったりするからではないでしょうか。

「ちゃんと、私の話を聴いてよ」と言ったとき、相手から「また、同じ話か?」「いっぱい話しているじゃないか」「何度言えば気がすむんだ」と反論されることも多いのではないでしょうか。

それに対して「そっちが、一番大事なところを理解してくれないから、何度も同じ話をする羽目になっているのに」と言えば、「その言いぐさはなんだ!」となり夫婦ゲンカが始まるのではないでしょうか。

子どもの暴言や問題行動も全く一緒です。そんなとき大事なのは、怒りや衝動という「うわべ」の感情(二次感情)や関連する問題行動(二次反応)を真に受けて反論するのではなく、それより深いところにある「本音」の感情(一次感情)を感じることです。そして、その際に大事なのは「聞く」と「聴く」の違いを理解したうえで、「聴く」ということにほかなりません。

「『聞く』と『聴く』の違い」(『8050 親の「傾聴」が子どもを救う』より)

我が子が自分の感情を深く感じる力がないならば、その習得のためには、親が子どもの話をしっかり「聴く耳」と、子どもの様子を「見極める目」を持たなくてはならないのです。