親になって気づいた両親の思い
その後、父の要介護度が上がり老人ホームへ入居できたことを機に、私は一度捨てたお笑い芸人への道を再び目指すことを決意して、上京。29歳で松竹芸能タレントスクールに入学しました。ようやく一番好きだったお笑いができることがうれしくて、ものまねオーディションを受けまくり、できることはすべてトライして。ありがたいことにその翌年からテレビにも出られるようになりました。
上京後も月に2回は父に会いにいきましたが、心配をかけたくなくて、名古屋でOLをやっていると嘘をついていたんです。でも、テレビを見た施設の人に聞いたのか、バレていました(笑)。父は「芸人になれてよかったなあ、お父さんは元気だから、おまえもがんばりな」と。その後まもなく、体が弱ってしまい亡くなりましたが、好きな道で生きている姿を見せることで、親孝行できたんじゃないかなあと思うんです。
順調にいけば、年内にわが家は、私が育った家庭と同じ4人家族になります。
親になったことで、私は両親の思いや子育ての大変さを再確認することができました。両親への感謝の気持ちも深まった。
私のやりたいことを尊重してのびのび育ててくれた母、学校で居場所がなかった時も、大丈夫だよ、と支えてくれた父。家でふざける私のそばには、いつもそれをゲラゲラ笑ってくれる家族がいました。
そんな明るい家庭を、今度は自分でつくっていきたいと思っています。