精子がほとんどないと診断され、不妊治療開始

夫の検査も必要でしたが、仕事が忙しくてめんどくさがって。自宅で採取した精子を私が病院へ運び、結果を聞きに行きました。すると医師は、本人が来るか、委任状がないと話せない、と暗い顔をして言うんです。これはただごとではないと、慌てて夫に委任状を書いてもらい、再度病院へ。

あの時、医師から「無精子症です」と言われたのか、「精子がほとんど見当たりません」と言われたのか。よく覚えていないのは、ショックで頭が真っ白だったから。

でも、足踏みをしている時間はありません。気持ちを切り替え、夫婦一緒に治療できる病院で、本格的な不妊治療を始めました。今度の病院の先生には「精子はとても少ないけれど、全然つくられていないというわけじゃない。望みはあります」と言われ、絶望していたところに光がひとすじ差し込んできた気がしました。

驚いたのは、男性不妊の治療なのに、大変なのは主に女性の私だったということ。私たちの場合は自然妊娠が見込めないので、まず夫の精子を増やして採取し、体外受精して私の子宮に戻すという治療方針となりました。

夫は採取できる精子を増やすために、亜鉛などのサプリを飲んだり、点滴したり。それだけ?と不安でしたが、数ヵ月後、幸運にも精子が採取できました。それを冷凍保存したら、男性の役目はほぼ終わりです。