(写真提供:青木さん 以下すべて)
青木さやかさんの好評連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」などが話題になりました。今回は「怒りの世界の住人として」です。

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イライラを引き寄せる磁石のごとく

わたしはかつて、怒りの世界の住人だった。
いつもイライラしていたし、イライラするような出来事が起きたし、イライラしている人が近づいてきた。

イライラを引き寄せる磁石のようだった。

道や、電車の中でぶつぶつと社会や政治に対して怒っているおじさんは、何故かわたしに向かって政治批判を唱え始め、こりゃたまらん、と車両を変えてもおじさんはわたしの後をつけてきた。

道ゆく犬はわたしに吠えてきたし、ロケに行けば、穏やかだと前評判の動物が飛びかかって噛みついてきた。

よく怒る人は、わたしに怒ったし、あまり怒らない人も、わたしに怒った。

わたしは寂しかった。