甘えることをしたことがない

いっぱいいっぱいで余裕がなくて、味方がいないと感じていた。人と関わると傷ついた。傷つけようと思っているんだとしか思えなかった。友人の何気ない一言にも傷ついた。

ぐさ、ぐさ、ぐさ、と言葉が突き刺さり、抜こうにもうまく抜けなくて傷になり、治らないうちに、次の言葉で傷を増やした。

相手にうまく伝えられればよかったのだけど、それができなかった。
傷ついていると知られたくなかったし、冗談で返せるほど余裕がなかった。

きっと
「やだ、そんなふうに言われると悲しいです〜」
とか
「わからないので、助けてください〜」
とか言えたらよかったのだろうけど、甘えることをしたことがないのだ。
 

本連載がまとまった青木さやかさんの著書『母』が5月10日に発売されました

わたしは、恥ずかしさも手伝って、甘える代わりに「怒り」を使って「傷ついているの」「わかってほしい」という表現をした。わたしは、自分を「怒り」で守った。

怒ってないと号泣してしまいそうなのだ。もう大変。