「毒」とか「鬼」とかつける風潮は終わりに
桜木 親子としての時間を肯定できるのは、すごく大事なことだと思います。私も両親とのあれこれをフィクションにして書いてきましたが、親には親の人生があって、彼らなりの考えもあったと理解したことですごく楽になった。
私、親に「毒」とか「鬼」とかつける風潮は、そろそろ終わりにしてもいいと思うんです。子どもにとって薬ばかりで毒にならない親なんていないだろうし、その環境で育ったから身につくものもあったかもしれないわけで。
吉永 私はもともと競馬記者で、今も競馬が好きなんですがね、家族もバクチと考えればいいんですよ。誰でも勝ちたいと思うけれど、「勝たなきゃいけない」と思うとうまくいかない。そもそも生まれた時代や場所や、家族という手札がそれぞれ違うんだから。
桜木 家族はバクチ(笑)。最後にすごい結論が出ました。
吉永 勝った時は喜ぶだけで何の変化もないけれど、負けた時には「何がいけなかったんだろう」「次はどうしよう」と、人間いろいろ知恵を絞るじゃないですか。母と娘など家族の問題も、躓いたりぶつかったりするなかで学ぶことがいっぱいあると思います。
桜木 父や母もきっと、死に際して何かを私に教えてくれるのでしょうね。今日は吉永さんとお話しできて、さらに自分の中でいろんなことがラクになった気がします。ありがとうございました。
吉永 こちらこそ、お話しできて嬉しかった。今度は一緒に北海道の競馬場めぐりをしましょうよ。
桜木 ぜひぜひ。楽しみにお待ちしています。