「歌詞をドラマの内容に寄せることも重要ではありますが、主人公の心情を描きながら、最終的には私自身の心情にリンクしています。それは、私が作るんだから当然なんですよ。」

いい意味で相手を裏切るのも、面白い試み

ドラマの主題歌への向き合い方はケースバイケースです。たとえば「shining」を作った時は、ドラマ『桶狭間~織田信長 覇王の誕生~』のプロデューサーから、市川海老蔵さん扮する織田信長と、広瀬すずさんが演じる濃姫のラブロマンスを彷彿させる歌を、とリクエストされました。

しかし、私としては激しい戦闘に挑む男たちの哀愁が心に残り、いずれにしても情熱的な楽曲がいいなと。歌詞をドラマの内容に寄せることも重要ではありますが、主人公の心情を描きながら、最終的には私自身の心情にリンクしています。それは、私が作るんだから当然なんですよ。

4曲作った候補作から選ばれた「shining」は、スパニッシュギターの音色で始まるので、「時代劇なのに?」と意表を突かれたという人もいたようです。いい意味で相手を裏切るのも、面白い試みです。

オファーしてくださる方のアプローチもさまざま。あるドラマのプロデューサーは、イメージに合うエレカシの曲の歌詞に自ら線を引いてみせてくれました。あるいは、細かな説明はなく「宮本節で」と委ねられるケースもあります。どの方も自分の制作する作品の主題歌に関して、真剣であることに変わりありません。