「今年5月、久々に開催された野外フェスに出演した際は、ワクワクが止まらなくて自分で自分にビックリでした。『俺はこんなにコンサートが好きだったのか!』って。」(撮影=宅間國博)
ロックバンド・エレファントカシマシのフロントマン。そして、2019年からはソロアーティスト・宮本浩次として表現の幅を広げ続けている。ソロ通算3枚目のニューアルバム『縦横無尽』に込めた想いとは──(構成=丸山あかね 撮影=宅間國博)

職業欄には「ロック歌手」

このところ、新幹線の中なんかで声をかけられることが顕著に増えました。2020年11月にリリースしたカバーアルバム『ROMANCE』が、おかげさまで予想以上にみなさんに受け入れていただけて。

懐かしい名曲の力が大きいと私は分析しているんですけど、とにかく老若男女の方々から「宮本さん、カッコいいです」なんて言っていただいちゃって。「いやー、どうもすみません!」みたいな。(笑)

芸術選奨文部科学大臣賞受賞? あ、そうなんです! 今年の3月にね。周囲の人たちが祝福してくれました。実は私、そういう賞があること自体知らなかったので最初はピンとこなかった。時を同じくして親父と電話で話したんですが、受賞については何も言ってなかったし、そんなもんかなと。ところが後から、父がすごく喜んでくれているってことを人づてに聞き、私自身もじわじわっと来たという……。

もうひとつ、日本ゴールドディスク大賞というのをいただきました。当然のことながら、アルバム制作は私ひとりの力ではできません。ただ『ROMANCE』は自ら企画して自分で歌っているだけに、感慨もひとしお。

ご褒美をふたつもいただき、音楽家としての自信につながりました。私は昔から国勢調査の職業欄には「ロック歌手」と書いているのですが、歌い手としての手応えを感じています。

ファースト・ソロアルバム『宮本、独歩。』を発表したのは20年3月。コロナの影響でコンサートツアーが流れてしまったのは残念だったけど、ソロ活動第2弾としてのカバーアルバム作りに励むなど、充実した日々を送ることができました。

でもやっぱり、お客さんの前でソロ活動の成果を発表したいという渇望は抑えることができなかった。今年5月、久々に開催された野外フェスに出演した際は、ワクワクが止まらなくて自分で自分にビックリでした。「俺はこんなにコンサートが好きだったのか!」って。