とうとう家を乗っ取られ

「夫が『マキはいつまで家にいるつもりなんだ?』と私に聞くので、娘に尋ねてみたら、『彼氏ができたら再婚して出ていくわよ』と言う。仮住まいのつもりだから、自分の収入にはできるだけ手をつけず、子どもたちに不自由な思いをさせたくないから教育費も貯めたいと」

独身だったマキさんの兄は、妹が実家に帰ってきて以来寄りつかなくなった。

「孫たちが小学校の高学年になると、子ども部屋が必要だからと言われ、娘家族に母屋を明け渡し、私たち夫婦が離れに引っ越すことになっちゃって。夫は『とうとう家を乗っ取られたな』と愚痴ってましたね。母屋のリフォーム代は娘が自分で出すというので、まあしょうがないかなと思ってしまったんです」

75歳になったシズエさんは、仕事を完全にリタイアすることにした。すると娘は、「これからは子どもたちの食事の支度は全部お任せするわ」と宣言。自分は仕事に没頭したいのだとか。

「毎日孫たちのスケジュールを渡されて、塾に行くまでに軽食の準備、帰ってきたら夜食、夏休み中は朝、昼、晩のおさんどん。完全に娘のアシスタントかお手伝いさん扱いです。80歳になる夫は我関せず。やっと義母と実母を看取ったと思ったら、この年でもう一度子育てなんて、なんだかツイてない人生だなあって思う」