こうなったら長生きするしかない
リタイアしてのんびり老後を過ごすはずが、どこでどう間違ったのかしらと嘆くシズエさん。
娘に言わせると、「子どものころは、お母さんは仕事、仕事で、私はずいぶん放っておかれた。気にかけるのはお兄ちゃんばっかりで、私のことなんてかまってくれなかったでしょ」ということらしい。思い当たる節がないわけではない。
「そのツケをこの年で払わされてるということ? 冗談じゃないとは思うものの、孫たちのことは気にかかるし、面倒をみてやりたいとも思います。彼らが自立するまであと何年かのお勤めだとは思うけど、そのあとも元気でいられるかしらと不安です」
娘はすっかり落ち着き、再婚して家を出ていくと言わなくなった。
「もうこうなったら、夫婦で長生きして娘の世話になるのを楽しみにするしかないわ」と語るシズエさん。とにかく、少しでも長く動ける体でいようと健康に気をつけている。