「原田、アウト」
家に帰った私は、そのままリビングへと向かいました。そこにいた夫は、真っ青な顔をしながら膝をついた状態で私の帰りを待っていました。
まるで土下座のような格好の彼から出た言葉は、「今、週刊文春の人がきて……」というものでした。今にも倒れそうなくらい顔色の悪い夫には申し訳ないけど、それを聞いた瞬間に自分の中の黒い霧が晴れて。どこかスッキリとした気持ちの私。パパの説明も、最初は上の空で聞いていました。
「インスタグラムで……」とか「ファンの人と……」とか「LINEのやりとりが……」とか「でもこれは違くて……」とか。やがてクリアになってきた頭に、そんなことをポツリポツリと説明する言葉が入ってきます。
私は夫が「これは違う……」ということを言っていたのが引っかかり、すごく冷静に「LINEを消さなければよかったのに」などと考える余裕さえありました。「LINEのやりとりも載るけど、そんなメッセージは送っていなくて……」そんなことを言っていたと思います。
でも、怪しいメッセージは片っ端から消去している人だったので、証拠はゼロ。これが夫の嘘だったのか、真実だったのかはわかりません。だって、何も残ってませんから。そして、「文春さんには対抗できない、全部認めて謝罪しようと思う」という夫の言葉を聞いて、私からはひと言だけ。
「原田、アウト」
これがあの日、原田家であったできごとです。