仕事場の一角にはコルクボードに描いた自作の壁画。読者からの手紙に添えられた小さな人形などを木の実のようにぶら下げて(『「魔女の宅急便」が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ』(KADOKAWA)より)

いくつになっても、冒険が何より楽しい

作品を書くときだけでなく、日々の暮らしの中でも、私なりの「いい気持ちライン」があるんです。言い換えれば、自分に合わないもの、合わないスタイルだと気持ちが悪くて耐えられない。

この年齢になると、洋服も袖ぐりがしめつけられるようなデザインのものは、着ていると肩が凝ってつらくなる。もっとラクでおしゃれな服がほしいと思っても、お店で売っているのは若い人向けの服ばかりで、自分に合うものを見つけるのが難しい。だったら、自分が気持ちいいデザインの服を作ってもらえばいいじゃない、と。袖ぐりはゆったりで、襟元は開きすぎずある程度詰まった、同じ型紙のワンピースを何枚も作ってもらって着ています。

髪の毛も、あるときから染めるのが面倒になっちゃって。でも、白髪には赤やピンクといったカラフルな色の服やアクセサリーが似合うと気づいたら、それもまた楽しくなりました。この歳だからピンクなんて似合わないと、最初から諦らめる必要はありません。手探りで試していけば、その年齢なりの自分に合った「いい気持ちライン」が必ずありますよ。

年齢とともに体力が衰えてくると、「あれができなくなった、これもできなくなった」と嘆く方も多いでしょう。そんな方には、冒険心を忘れないで、と言いたいですね。私は冒険するのが大好きだし、戦後の何もない時代に育ったので、なんでも試してみたいし、知りたい。