「心がけているのは、そろそろ忘れられそうな被災地に行くこと。僕らが行けば報道陣が集まる。忘れ去られそうになってるところに、またスポットが当たるでしょう。」(さださん)

鶴瓶ちゃんに「連れてきてくれてありがとう」って

さだ 東日本大震災が起きてすぐの5月、2人で石巻に入ったんですよ。僕、避難所に訪ねて行ったときの、あるお母さんの一言に感激してね。鶴瓶ちゃんを見た途端、「なによ鶴瓶ちゃん、くるの遅いわよ!」って言ったの。そんなふうに言えるお母さんの素晴らしさ。それに対して、「ごめんごめん。ほんまごめん」って謝る彼の姿。

鶴瓶 あのときは嬉しかったなあ。俺もすぐにでも行きたかったけど、やっぱり『家族に乾杯』で行くことが大事やと考えた。テレビの力で、全国に「こないなってるんや」って見せなあかんと思ったから。

さだ ギターケースなんか持って被災地をウロウロするわけにはいかないと思ってたけど、たまたまTHE ALFEEの坂崎幸之助くんに二つ折りになるギターを教えてもらったんです。リュックになるの。

清水 リュックの形で背負えるなら、気にならないですね。

さだ そうしたら、やっぱり歌うことになりましてね。「Birthday」は、もともと締め切りに迫られて、ツアー先の気仙沼で徹夜で書いた曲だったんです。だから里帰りさせよう、という気持ちにもなれた。被災地で歌うことには抵抗があったけど、みんなが鶴瓶ちゃんの落語で笑って、僕の歌で泣いてくれて……。心から鶴瓶ちゃんに、「連れてきてくれてありがとう」って思ったし、喜んでもらえるならと、それからは毎月行きました。

鶴瓶 よう行ってるよね、ほんまに。ここ最近は日本中のあちこちがいろんなもんで被災するでしょう。そのたんびに行くよ、この人。