「いくつになっても、褒められれば嬉しいものでしょ」(写真提供:木村さん)

夫のお見舞いにもお気に入りの服を着て

そんな木村さんがおしゃれに目覚めたのは、ハイカラだった母親の影響だ。「学校の勉強はしない代わりに、海外のファッション雑誌ではよくお勉強してましたね」。

東京の大学を出て体育の教師になってからも、結婚して神戸で2人の息子を育てている時も、息子に着せたい服がないからと35歳で子ども服のセレクトショップを始めた時も、「おしゃれを忘れたことは一度もありません。息子たちが小さい時からマニキュアをびしっと塗ってね。『母親らしくない』と言われたって、気にしない。私は私、人は人ですもの」。

母親の介護をしていた時や、がんで入院する夫の見舞いに行く時も、髪をきちんとセットし、お気に入りの服を着て出かけていった。

「そうせんと私、気分が高揚しないんです。それにおしゃれしてる私を見たほうが、母も夫も元気になるでしょ。特に夫は私が身ぎれいにしているのが好きでしたから、彼のお気に入りの服を着ていくと『お、キミいい格好してるね。早くよくなって買い物行こうな』と言ってくれたものでした」。

しかし80代になって、身近な人が亡くなったり、病気で出歩くのが難しくなったり、気軽におしゃべりできる人が減っていく寂しさを感じていた。それがインスタグラムを通じて、60~70代の友人が増えてきたという。「その年代がお友だちにはちょうどいいの。なぜかというと私、厚かましくも自分がまだその年頃だと思ってるからなのね(笑)」。