インスタグラムにすっかりハマってしまったという木村さん。大好きなファッションを発信することで、人との交流も増えた(写真提供:木村さん)
何か新しいことを始めてみたい」と思っても、気力と体力が追いつかない……。でもほんの小さな一歩で、見える景色はガラリと変わるかもしれません。年齢を重ねても気後れすることなく未知の世界にチャレンジしている人には、どんな背景や思いがあるのだろう。歳を重ねて「目覚めた」女性に話を聞いてみた。(取材・文:山田真理)

《木村さんの場合》私は私。好きな服をずっと着ていたい

79歳から、大好きなファッションやライフスタイルをSNSのインスタグラムで発信。84歳になる現在も投稿を続け、いまやフォロワーが9万人以上という現役インスタグラマーがいる。神戸で子ども服と婦人服のセレクトショップ「神戸ハナノキ」を営む木村眞由美さんだ。

「夫をがんで亡くして落ち込んでいた私を見かねて、息子たちが勧めてくれました。最初は『インスタって何?』からのスタートでしたよ(笑)」。

初めは息子や店のスタッフに撮影を頼んでいたが、すぐに自撮りのコツを覚え、気分に合わせてその日のコーディネートを投稿するように。すると年齢を感じさせない自由でシックな装いに注目が集まり、多くの「いいね!」やコメントが届き始めた。

「いくつになっても人間、褒められれば嬉しいものでしょ。次はまた違ったことしてみようって勇気も出ます」。

しかし人気が高まれば、アンチと呼ばれる批判や中傷も集まる。「最初は『なんで知らない人からこんなこと言われなあかんの』と驚きました。でも社会人の孫から、『SNSにアンチはつきものだから。ふーんと思っていればいいんだよ』と教わって。それからは私も、ふーん、こんなの無視無視って読み飛ばしてます」。