再演が決まって武者震い
今回、再びこの作品に出会うことができて本当に嬉しいです。
日本のオリジナルキャストでゼロから作っていった初演の舞台を大勢のお客様が認めてくださったおかげで、今回の再演につながった。本当にありがたいことだと感じています。
初演のときは、同じ日の昼公演がトーマスで、夜公演がアルヴィンなんてこともあったので、「とんでもないことに挑戦させるなぁ~」と、頭が沸騰しそうで(笑)。当時の記憶がほとんどないくらい、苦しくて大変なことだらけだったんですよ。
でも、今回2年ぶりに台本を開いたら、前回、両方の役をやらせていただいたおかげで、今になって理解できることがたくさんあって。今回はトーマス役だけになったので寂しさもありますが、より深く役と向き合って、新しい設計図を描きながら演じられるのが嬉しいですね。この2年の間に僕自身が得た経験もプラスしながら、初演のときとはまったく違うトーマスをお見せして、前回を超える深いお芝居にしていきたい。自分の夢をかなえるために、故郷に親友を置き去りにしてきたトーマスの心境、そして失ってみて初めてわかる大切な人への思い――見終わった後、お客様の心の中に、何本か細い針が突き刺さっていればいいなと思っています。
この作品は、一度舞台に上がったら、110分間出ずっぱり。
以前出演した『サンセット大通り』で3時間、180分出ずっぱりという経験をしたものの、この作品の場合、舞台に立つ役者は2人きり。逃げも隠れもできず、2人ぼっちで物語を紡いで行かなければなりません。
それだけに「いい舞台を届けられるだろうか?」と、怖くなったり、不安になったりすることもありますよ。毎回、開演前に楽屋のトイレにこもり、「やれるのか? やるのか? 大丈夫だよな?」って自分自身に問いかけて、「よしっ!」っと、気合を入れてから舞台上に出て行くようにしています。(笑)
とはいえ、いざ幕が開いてしまえば、まるでジェットコースターに乗っているみたいに、110分間があっという間に過ぎていく。
今回も、再びそんな現場に飛び込んで行くのだと、今から武者震いしているところです。