メディアの元副編集長が掛けてくれた言葉
緊急事態宣言で仕事がなくなる1年前、よく読んでいたメディアの元副編集長と知り合った。文章を書くことを仕事にしたいと思っていた私に、友人が紹介してくれたのだ。
そのメディアの元副編集長は私に言った。
「あなたの貧困体験記を記事にしたらいいよ」
半信半疑、いや、1信9疑だった。
しかし、翌5月、ついに自らの体験記を記事にして世に出した。
その時は、少し読まれたなあ、くらいの感触だった。
1ヵ月後、なぜかバズり、数々の著名人がシェアしてくれ、読者が急激に増えた。
メッセージがパンクするほど来て、堰をきったような、とめどなく溢れる感情をしたためた文章が届く。
現在私は、複数の媒体に寄稿するライターとして活動している。
ライターになって1年半、気づけば細々ではあるが、新聞に取り上げてもらったり、ラジオに出演したりしている。
ライターになって実感するのは、自分にとっては当たり前の体験が、他者にとっては当たり前ではないということ。
もがき苦しみ、胸をかきむしるような痛みも、どうしようもない絶望も。
そこで生まれた感情の渦を、ありのまま文章にすることで、なんだか力が湧いてくる。
そして文章にすることで、他者に新たな景色を提供できると悟った。