戦中戦後のことを思い出して

えてして人は、してもらうことを「当たり前」と思いがち。とくに夫婦の間では、そうなりやすい。夫は妻が世話を焼いてくれるのを当然と勘違いし、一方妻は、夫が必死で働いてくれたおかげで生活できているのに、慣れっこになってしまい、感謝する気持ちが吹っ飛んでいる。そして、不平不満が出てきます。

小さい子どもからおじいさん、おばあさんまで、何一つ不平不満がない人はひとりもいないと思います。もし不平不満があった時は、何か感謝することはないかを探せばいいのです。

たとえば、歩ける。見える。聞こえる。口がきける──。今できることがあるというのは、ありがたいではないですか。感謝が大事だということを頭に入れておくと、日々の心持ちも変わります。

私はときどき、戦中戦後のことを思い出すようにしています。当時は皆さん食べるものもなく、お米が数粒浮かんでいるだけのお粥をすすっていました。もう、卵なんて貴重品もいいところ。私も長崎で原子爆弾によって被爆し、苦しみました。そういう時代を振り返ると、「今は何てありがたい世の中なんだろう」と思えるのです。

世の中は「正負の法則」から成り立っています。プラスとマイナスは交互にやってきて、最終的にはゼロになる。自分には悪いことばかり起きると思っている人も、同じくらいいいことがあったはずです。それに気づいて感謝の気持ちを持てば、まわりに優しくできます。すると人からも優しくしてもらえますし、何歳になってからでも運が開けますよ。