美輪さん直筆の言葉

老いて大樹になるか、朽ち果てるか

私は今、86歳です。やはり、実際にこの年齢になってみないとわからないことがたくさんあります。私より2歳上の黒柳徹子さんが「時間が束になって飛んでいく」とおっしゃっていましたが、まさにそんな感じです。

50代、60代の頃と比べると、体調の浮き沈みも激しくなってきました。私はもともと慢性気管支炎を抱えていることもあり、最近は数日単位で体調が変わります。動きも以前のようにテキパキとはいきませんから、大変のろまです。

けれど、「老い」は誰しも避けられないもの。受け入れるしかありません。たとえ若い頃、美貌に恵まれたとしても、「え~っ、あんなになっちゃったの?」と言われるようになります。かくいう私自身、まさにそうです(笑)。もう、見る影もありません。

ただ、老いて大樹になるか、朽ち果てるかは、人それぞれでしょう。

何のために生きてきたのか。どう生きてきたのか。今までの人生の積み重ねが問われるのです。つまり「老い」とは、人生の総決算の時期と言ってもいいでしょう。

その時期が近づいたら、人生を振り返り、自分を見つめ直して、総ざらいしてみることをおすすめします。自分は、誰かのためになっているだろうか。人のために、何かしてあげたことがあるのかを、自分に問うてみる。そして、自分を大事にしてくれた人に感謝することです。