渋沢栄一の理念とSDGs

実は、SDGsは、渋沢栄一の『論語と算盤』と通じるものがあります。

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「仮に一個人のみ大富豪になっても、社会の多数がために貧困に陥るような事業であったならばどんなものであろうか、いかにその人が富を積んでも、その幸福は継続されないではないか。故に国家多数の富を致す方法でなければいかぬというのである」。
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これが、栄一が示した「誰一人取り残さない」という目標です。SDGsが採択される100年以上の前から渋沢栄一は同じような考えを唱えていたのです。

栄一は決してお金儲けを否定していませんでした。むしろ、その意欲を持つことは重要だと考えた。ただ、稼ぎの手段を選ばず、儲けを独り占めしてしまい、大多数の人々が不幸に陥るようでは、結果的に自分自身のウェルビーングにもつながらないということを唱えていたのです。

そのウェルビーングが「継続」することが大事。つまり、栄一が「論語と算盤」で最も言いたかったことを今の時代の文脈で表現すれば、それは「持続可能性=サスティナビリティ」です。

まさに、SDGsの最初の「S」の部分です。そして渋沢栄一のライフワークとは、よりよい社会を築くこと、「D」(開発)であり、それがG(目標)だったのです。

渋沢栄一は、「真に理財に長じる人は、よく集むると同時によく散ずるようでなくてはならぬ。」という考えも示していました。

お金を「よく集める」ことが理財に長じると思いがちですが、「よく散ずる」、つまり、お金の使い方も大事であるということです。