実業界から身を引いても、最晩年まで国のために働き続けた渋沢栄一を吉沢亮が演じ切った(© NHK)
「日本資本主義の父」と云われる渋沢栄一の人生を描いたNHK大河ドラマ『青天を衝け』が12月26日に最終回を迎える。渋沢栄一の思いを受け継ぎ「渋沢栄一が築いた日本の新しい資本主義から、現在の新しい資本主義が学ぶべき心構えある」と語るのは、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役で、コモンズ投信株式会社取締役会長を務めるご子孫の渋澤健さん。ドラマの感想と供に、今必要とされる社会変革について寄稿いただきました。

高祖父、渋沢栄一を描いた『青天を衝け』

色々とあった1年でしたが、あっという間に2021年の暮になりました。60年前の1961年の日本には、坂本九の「上を向いて歩こう」がヒット曲となり、終戦から途上して物質的にはそれほど豊かな時代ではありませんでしたが、「今日よりも、よい明日」への希望が満ちていました。

そして、現在の日本。物質的には豊かな先進国になりました。ただ、我々日本人は、どのような「明日」を描いているのでしょうか。まるでその答えを求めるように、日本資本主義の父と云われている渋沢栄一の人生を描くNHK大河ドラマ『青天を衝け』が放送され、最終回を迎えました。

若手俳優の吉沢亮さんが主役になると知った時の第一印象は「あり得ない」でした。あまりにもイケメンで、私の高祖父(祖父の祖父)である渋沢栄一の面影が全くない。ただ、一年間を通して、吉沢さんの熱い演技でイメージが馴染み、これから毎週「渋沢栄一」とテレビ画面で会えないことに寂しい想いがします。

最終回、大隈重信(大倉孝二)の病床を訪れた渋沢栄一(吉沢亮)(🄫NHK)

台本も見事でした。脚本家の大森美香さんは渋沢栄一に関する資料をかなり読み込んだのでしょう。私が考えている渋沢栄一の大事なシーンは、ほぼドラマで展開されました。また、「お、そこまで見せるのか」というシーンもいくつかありました。偉人渋沢栄一の人間っぽいところも紹介してくれたので、視聴者からの親しみが高まったのではないでしょうか。

もちろんドラマです。演技が大げさなシーンもありました。その時に、そのような感じで、その人との関わりはなかったんじゃないかという場面も多かったです。ただ、本当に楽しませていただいた一年であり、大河ドラマ制作に関与された多くの皆様に感謝を示します。