腰部脊柱管狭窄症は病気?

脊柱管狭窄症とは厳密に言うと一つの「病気」ではありません。少し詳しくお話しします。

『脊柱管狭窄症の本』(著:菊地臣一/興陽館)

まず、腰部脊柱管狭窄(症)という名称に注目してみます。

「症」のつく診断名は、骨肉腫や心筋梗塞という疾患名とは明らかに異なっています。

一般的には、「症」というのは疾患を連想させます。しかし、語源からいって疾患名とするには曖昧さが残るため、腰部脊柱管狭窄(症)という名称を使う場合には、疾患として使っているのか、症候群または疾患の集合体として使っているのかを明らかにする必要があります。

新刊では同じ症状を起こす様々な疾患の総称ということで腰部脊柱管狭窄(症)という名称を使っていますが、腰部脊柱管狭窄(症)とは、腰部脊柱管が先天性または発育性に狭小であったり、後天性に狭小化して馬尾(ばび)や神経根が圧迫され、下肢の痛みなど様々な下肢症状や排尿・排便障害、或いは会陰部(えいんぶ)症状を起こす疾患群の総称です。

つまり、腰部脊柱管狭窄(症)には様々な疾患が含まれています。

変形性腰椎症、腰椎すべり症、腰椎分離すべり症、腰椎変性側弯症などの疾患が、神経性間欠跛行(かんけつはこう)を始め下肢に症状を起こす場合に脊柱管狭窄(症)という名称でまとめられています。