すべり症、分離症、変形性脊椎症といった名称でも

臨床の現場では、変形性腰椎症でも下肢に症状があれば脊柱管狭窄(症)で、原因疾患は変形性腰椎症と記載されます。腰痛だけで下肢に疼痛などの症状が無い場合には変形性腰椎症という診断になります。

例えば、腰部脊柱管狭窄(症)という疾患名のなかに変形性腰椎症という疾患名が入っていると、疾患のなかに疾患があるという二重の疾患名になってしまいます。これが患者さんを混乱させる原因になっています。

つらい症状は年齢とともに高頻度に(イラスト:『脊柱管狭窄症の本』より)

したがって、この場合には変形性腰椎症という疾患が原因で、腰部脊柱管狭窄(症)としてまとめられます。このような診断名の混乱は、今までが単純エックス線写真の形からみた所見によって確立されてきたという経緯があるからです。

すべり症、分離症、変形性脊椎症といった名称が典型的ですが、今後、見直しが進められていくと思います。

腰部脊柱管狭窄(症)では、腰椎(背骨の腰の部分)の内部を縦に通っている脊柱管というトンネルが様々な原因で狭くなる結果、その中を通る馬尾や神経根といった神経組織が圧迫され、下肢に痛みやしびれが現れます。