真夏なのに冷蔵庫のような室内
受験の天王山と言われる夏。私にとっては究極の試練が待っていた。
校舎の建て替え工事に伴い、プレハブ校舎に移ったのだが、そこが灼熱地獄だった。
直射日光を貯えて、建物全体が熱を帯びる。
廊下は熱気が充満していた。
うだるような暑さに、生徒からは不満の声が漏れ始めた。
校内のエアコンは職員室でしか設定を変えられないが、プレハブ校舎に付けられた最新のエアコンは、直接温度設定を変えられる。
そこで、設定温度を16度まで下げる生徒が現れた。
最新のエアコンは、風力も強く、よく冷えた風が出た。
すると、今度は直風が当たって、女子を中心に寒がる生徒が出始めた。
しかし、声の大きな男子Jやクラスの中心的な女子Sが、「あっちぃ!」といらだった声を出すので、寒さを感じても、黙るしかなかった。
室内は冷蔵庫のように寒く、廊下に出ると灼熱。
あまりの寒暖差に、だんだん身体がおかしくなっていった。
制服は半袖にスカート。身体が芯から冷え切って、手がかじかんだ。
だんだんと、猛烈な倦怠感に襲われるようになる。
とにかく全く身体に力が入らない。
そのうち、真夏の38度を超える酷暑でも、外気が「あったかい」と感じるようになってしまった。