大学受験の一番の障壁は虚弱体質

思春期に置かれていた現実は、直視できないほど、苦痛にまみれていた。
いつもピンと張った糸。見たくない、聞きたくない暴力が、いつも生活の傍らにあった。
でも、勉強しているときは、問題と自分だけの世界になる。
ある意味、現実逃避のツールだったようにも思う。

難関大学の合格体験記を見ながら、スケジュールを組み、実践することを繰り返していた。

しかし、一番の障壁は、体調面だった。
私はかなりの虚弱体質だった。

体験記に出てくる学生は、平気で1日10時間程の自習をこなす。
中には16時間を毎日、なんて猛者もいる。
しかし、私はどんなに頑張っても8時間が限界だった。

集中力や意欲はとめどなく溢れるのに、
のめり込みすぎると呼吸が浅くなり、肺が痛くなる。
加えて頭痛、さらには吐き気。毎度限界を超えては、力なく横たわるのだった。
限界が来るまでにセーブしなければ、翌日も回復しないことがある。
だから、どうしても長時間は勉強できなかった。

高校受験の際と同様、これでもかと言うくらい、ありとあらゆる症状に悩まされた。

全身、皮膚の表面は無症状なのに、その内側が、猛烈な痒さに襲われる。あまりの痒みに、授業中座っていられなくなることさえあった。

またある時は激しい頭痛が1ヵ月続き、近所の病院で精密検査をした方がいいと言われた。CT検査をするも、「とってもきれいな脳みそですよ」と言われる始末で、原因はわからなかった。お金のない中検査を受けたのだから、よほど痛みがひどかったのだろう。

さらに、何を食べても下してしまう、激しい腹痛がこれまた1ヵ月続いたこともあった。大人になってもこの症状に悩まされており、過敏性腸症候群と診断された。

楽しんでやっているつもりでも、身体には想像以上に負荷がかかっているようだった。