眠れなかったセンター試験前日

大晦日も、元日も、とにかく毎日学校に通い続け、いよいよセンター試験前日になった。学校で説明会があったのだが、その前に身体が動かなくなってしまった。
保健室のベッドから起き上がれず、学年主任が個別で説明に来た。

その晩、布団に入ったものの、神経が高ぶって、全く眠れない。

身体が言うことをきかないのだ。

「眠れなくても、目を閉じて横たわっていれば、身体は休まる」

そう言い聞かせるも、試験前日に眠れない事実に焦り、不安が押し寄せ、緊張で目がさえる。そしてまたその事実に焦って、という悪循環だった。

気付けば小鳥のさえずりが聞こえ、朝になっていた。

結果から言うと、センターの自己採点は普段より100点程低かった。
でも、落ち込んでいる暇など無かった。
センター試験の得点で足切りがあるため、出願できる大学は限られる。

国公立の試験は基本的に前後期の2回。
しかし、後期試験は前期で落ちた人が流れてくるため、合格のハードルは高くなる。

必然的に前期よりワンランク下げた大学を受けざるを得ない。

自己採点の結果は3年生を担当する教師全員に共有され、合格判定の協議がされる。

(写真提供◎写真AC)

ある教師には、浪人したほうがいい、と言われた。浪人すれば、第一志望を狙える、という判断だった。せっかく実力があるのに、諦めるのはもったいない、とも。

私も本当はそうしたかった。

しかし、親に談判しても、「お金がないからさせてあげられない」と言われた。
たとえ浪人しても、予備校に通う余裕などあるはずもなく、図書館か家で勉強する「宅浪」だったが、それも許されなかった。なぜか。

私は高校も、奨学金を借りて通っていた。私の高校には、浪人するための「専攻科」があり、受験に失敗するとみなそこへ進む。しかし、そこは奨学金制度がないのだ。それに宅浪しても、模試代や生活費はかかるだろう。そのため、現役で大学に進学し、奨学金やアルバイトで授業料を賄うのが、一番現実的な選択だったのだ。

もともと浪人はないと分かっていたはずなに、いざ現実を突きつけられると、第一志望だった大学AやBへの未練が残った。