後悔をする選択をしたくなかった

願書提出前の面談を終えた生徒は、みな青い顔をしていた。

その年は国語が難化したこともあり、普段より点数が取れない生徒も多かった。志望を下げるよう担任から言われた生徒は、失意の底にあった。

私は、第一志望の大学を諦めることにした。

無謀な挑戦をして落ちれば、大学進学という夢すら、泡と消える。苦渋の決断だった。

しかし、大学一覧を見返すと、まだ狙える別の関西の公立大Cが見つかった。そこを受験することを決め、面談に臨むも、担任にはそこさえも諦めるよう言われた。でも、私は頑として譲らなかった。

これまであらゆる困難を耐え忍んで、ここまで来たのだ。人生で1回の挑戦。
中国地方の片隅から、憧れの関西に行きたい。

私の人生を歩むのは担任ではない。私自身なのだ。

日が暮れると真っ暗なヒオカさんの出身地

中学3年の時、進路面談で担任に言われた言葉がある。

「あなたはX高に合格する可能性は十分にある。でも、受けるかどうかは自分で決めなさい。人に言われて決めた先で失敗したら、人のせいにしながら生きていくから。自分で決めて、ちゃんと責任を持つの」

ここで言われるがまま関西の大学を諦めたら、一生後悔すると思った。自分で決めたことなら、たとえ失敗しても、ちゃんと受け止められる気がした。

2回目の面談で、やはり関西の公立校Cを受けます、とまっすぐ見据えて言った私に、担任の険しい表情がふっとゆるんだ。

後期を中国地方の国立大にするという条件を出されたが、なんとか前期、関西の公立大Cを受けることを認めてもらった。

でも、後期試験を受ける気はさらさらなかった。広い世界に出ると決めたのに、結局生まれ育った地方では浮かばれない。

実質一発勝負、背水の陣だった。