50歳過ぎからピアノを再び習い始めたという稲垣さん。気づいたことがいろいろあったそうで(写真提供:著者)
元新聞記者で、アフロヘアがトレードマークの稲垣えみ子さん。朝日新聞社を2016年に早期退社した後、50歳を過ぎて始めたのはピアノでした。「ずっとやりたくても、できなかったこと」として人生後半戦に始めたピアノは、いまを楽しむことの幸せを教えてくれたと言います。その稲垣さんが「ピアノを習い始めた」と周囲に言った際、戻ってくる反応は決まっているそうで――。

「ピアノを習い始めた」と言ったときの周囲の反応

大人がピアノを習うというのは、案外と難度の高いことなんじゃないかと思う。

何しろ相手はピアノ。楽器はデカいわ音もデカいわ、もちろんお値段も張るのであります。さらに先生も探さなきゃいけない。練習時間も確保しなきゃ……などなど現実的に超えなきゃいけないハードルが次から次へと出てきて、いちいち「う、うーん……」と立ち止まっているうちに時は飛ぶが如く流れ去り、そうこうしているうちに人生はアッと言う間に終わるのだ。

かくいう私も、もう一度ピアノをやりたいとぼんやり思い始めたのは40歳になった頃だった。

だが当時は新聞記者という落ち着きのない仕事をしていたのでそんなことやってる場合かと諦めるしかなく、でもこのままやりたいこともせぬまま人生が終わるのかと思うとそれはそれでダメなことのような気がして、もちろんそれだけの理由じゃないが、50歳で会社を辞めた。

それでも家にピアノもなく先生のあてもない身としてはピアノ再開計画はそうそう簡単には進まず、ようやく夢を叶えた時は53歳になっていた。

なので当然のことながら、会う人会う人に自慢せずにはいられない。

会話にわずかでもスキができるとすかさず「私さあ、最近ピアノ習い始めたんだよね〜。小学校以来だよー!」……と、鼻の穴をフンフン膨らませて申し上げることになるのであった。

するとですね、もうほとんどの人が「いーなー!!」とおっしゃるのだ。驚くほどの高確率である。特に私と同世代の女性の場合、9割以上の方からそのような反応が返ってくるのである。