理解がしやすくなるための知識の枠組み「スキーマ」

この文章は、わざと少しわかりにくくした不親切な文章ではありますが、実は洗濯の手順を書いたものなのです。そう言われれば、「あっ、そうか」と腑に落ちるのではないでしょうか。

『メタ認知-あなたの頭はもっとよくなる』(著:三宮真智子/中央公論新社)

文章を読んだり話を聞いたりする前に、タイトルや見出しが示されていれば、その話は急に理解しやすいものとなります。これは、知識の枠組みである「スキーマ」を活用することができるからです。

先の文章では、洗濯についてのまとまった知識すなわち「洗濯スキーマ」を私たちが持っているため、これを先に活性化しておくことで、話の内容が理解しやすくなるわけです。その結果、ぐんと覚えやすくなる。

ということは、何かを覚えなければならない時には、まず内容を理解するよう努めることが、結局は近道だと言えるでしょう。ジョン・ブランスフォードたちのグループは、一連の実験によって、このことを明らかにしています。