花子と私の共通点

2018年、私の当たり役になった『ホリデイラブ』の里奈役も、舞台に立つ私を見てくださったプロデューサーから声をかけていただきました。舞台という世界がなければ、今の私はありません。そしてあの昭和の残り香のある舞台での経験が、今回の80年代を生きる女性の役作りの土台になっています。80年代には、むき出しの本音でぶつかり合うとか、自分の欲求のままに動く無骨さとか、今の調和を重んじる時代に希薄になったきらめきがあるように思います。それを『雨に叫べば』からも感じていただければ嬉しいです。

私は子どもの頃祖父母の家に暮らしていて、厳しいおじいちゃんにスパルタで育てられました。私の生きたほとんどの年号は「平成」なのですが、育ちは色濃く「昭和」なのです。だからこそ80年代の作品には同世代の人よりシンパシーが強く、思い入れもあるのかもしれません。

子どもの頃のまりかさん(写真提供:松本まりかさん)

 

そして花子と私には共通点もあります。花子は、母に捨てられるという厳しい生い立ちが影響して、ポルノ映画を撮ることを目指しています。私も、幼少期から心に抱え続けた寂しさを昇華したくて、演じることに身を投じて来た人生でした。「演じなくてはいられない」という思いに突き動かされて20年以上この世界で生きてきたような気がします。そういう意味でも花子はとても演じやすかった。