再婚した夫は治療に協力的だった
「仕事を辞めなさい」の一点張りだった《教祖様》に対し、「仕事を辞めなくても妊娠できたじゃないですか」と言いたかったからかもしれません。
この頃の私は、いちばん最初に検査をした病院での「あなたは不妊症ではない」を信じていましたし、ちょうどその頃に始まった月刊誌の連載で、時折、不妊治療の経験を面白可笑しく書いていたのです。ダイエットや美容皮膚科のことを書くのと同じように……。
どこかまだ「もうすぐできる」という根拠のない自信があり、不妊は他人事のように感じていたのかもしれません。
不妊治療というと、人工授精や顕微授精、体外受精のことだけだと思われがちですが、病院に通い始めると、そうしたチャレンジ以上に検査や手術を勧められるものです。「毎月のように全身麻酔…」は、そのせいでもありました。その度に、一泊の入院が必要でしたし、麻酔が切れるときは必ず激しく咳き込みました。どうして私ばかり、こんな想いをしなければならないのだろう…とも思いました。
再婚した同い年の夫は、治療にはとても協力的で、必要な検査は「やるよ」「いつ、どうすればいい?」と快く受けてくれました。いつも結果は最高点というべきものだったことから、私は「原因は私にあるんだ」と自分を責め続けました。
ただ、彼は一度も病院には付き添ってくれませんでした。自営業が忙しかったことと、母=姑に、私の不妊治療を知られたくなかったのだと思います。