辛すぎる治療でどんどんネガティブ思考に
専門の病院に行くと、他にも辛くなることがたくさんありました。お腹の大きな女性が大勢いて、同じソファで順番を待っているからです。看護師や医師と談笑しながら出産準備のアドバイスを受けている女性と、小さな手術を何度受けても、今度は「子宮筋腫が内膜から顔を出しているから」と腹腔鏡手術を勧められる私。どんどんネガティブ思考になり、職場で男性スタッフから、ちょっと、からかわれただけなのに号泣するようなこともありました。
「美容と健康」がテーマだったハズの連載の2回に1回が不妊治療のこととなり、女性担当者も、私の体質改善のためにと、いろいろな取材先を調べてきてくれました。不妊治療を始めて3年が経ったとき、彼女と一緒に行った取材先のある東洋系のクリニックで、「先生、山田さんは、どうして子どもができないんでしょうか?」と訊ねられたこともあります。読者の方からは、「隣のページで連載している女優さんは妊娠なさったのに、あんなに一生懸命、不妊治療をしている山田さんが妊娠できないなんて、世の中、不条理ですね」といったお便りが届いたとも聞きました。
自分でも、もしかして私は妊娠・出産できないのかもしれない…という気持ちのほうが大きくなっていました。ただ、当時珍しく不妊治療をオープンにしていた私のところには、情報だけはたくさん集まりました。仕事先で私より10歳程下の女性ディレクターが「すごく、いい先生がいます」と勧めてくれた某総合病院を訪ねたのは、40歳が目の前に迫った頃。医師にそれまでの経緯を話しながら泣いてしまうようになったのも、その頃です。
(つづく)