「この快適さを手放せるのか? と自問すると、はっきりと聞こえてくるんですよ。誰かと暮らす幸せより、気ままで快適なほうがいいじゃん! って。(笑)」(撮影:洞澤佐智子)
タレントや女優として活躍し、いつも明るく元気な久本雅美さん。63歳になった今、この先の人生を考えるようになったそうです。「まだまだ結婚は諦めていない」と言いながらも、老後の住まいのこと、お金のこと、人間関係のことなどを語ってくれました(構成=丸山あかね 撮影=洞澤佐智子)

快適さを手放せるか自問してみると

最初に言っておきますが、結婚を諦めたわけではありませんよ! だって、誰とどこで出会うかわからないじゃないですか。「この人といたら人生が面白くなるな、学びがあるな、意味のあるものになるな」と感じたら、迷わず「ゴー!」します。

でも、まだ〈おひとり様〉なわけですが……(笑)。私が若い頃には「売れ残りのクリスマスケーキ」だとか「行かず後家」とかいう言葉があったけれど、今は独身を貫く人も増えましたよね。独身者に対する世間の偏見もなくなってきているから、私自身も肩身が狭いと感じることはありません。

とはいえ、これからもずっとひとりなのかと思うと、心細いような微妙な心境になるのも事実です。そこで、「そもそもなぜ私はひとりなのか?」と改めて考えてみたところ、もちろん縁がないからなんですけど、それ以前に、本気で縁を引き寄せようとしていないんじゃないかと。だって、ひとり暮らしって最高に自由ですもん。

お金も時間も空間も全部自由。好きな時に起きて、好きな時に食べて、部屋をどう使おうと誰にも気兼ねしなくていい生活は快適すぎます。化粧もせず、寝巻のまま、即身仏のように飲まず食わずで韓国ドラマを観ていても誰にも咎められることのない暮らしって、このうえなく贅沢です。

この快適さを手放せるのか? と自問すると、はっきりと聞こえてくるんですよ。誰かと暮らす幸せより、気ままで快適なほうがいいじゃん! って。(笑)

ひとりが苦痛どころか楽しめる性格のおかげで、このコロナ下のステイホーム期間も、通常運転で過ごせています。家庭内感染の心配もゼロですし(笑)。とはいえ未曽有の事態ですから、近くに暮らしている妹とコミュニケーションをとって不安を乗り越えたり、飲みに行けないストレスを解消したりはしていますけれど。