1人暮らしを始めることで何かがかわった

少し過去と向き合えたのは、1人暮らしを始めるようになったことが大きく影響しているように思う。
実家にいるときはもちろん、父のいる生活で、腹の底から空気を吸えないような日々だった。

その後、1年半前まで、経済苦が理由で格安シェアハウス生活が続いた。
一度社員寮に住んでいた時期もあったのだが、近くに仕事を辞める理由となるパワハラ・モラハラが酷い男性上司が住んでおり、体調不良で休んでいるとき呼び出されたこともあって、それはそれで生き地獄のようだった。

そんなふうに、常に何かに怯え、心が休まらない状態だった。
そして、25歳にして初めて、自分だけの、誰からも侵犯されない空間ができた。それによって、人生の土台ができたような感覚が芽生えた。

(写真提供◎写真AC)

今でも経済的には非常に逼迫しているし、精神的に落ち着いたかというと全くそんなこともない。

ただ、体に滞留し続けた膿、じゅくじゅくとした傷口、長く続く悪夢のようなトラウマをすこしだけ自覚できるくらいには、以前より余裕ができたことも確かだ。

虐待されていたと自覚するのにこんなに長くかかったのだから、きっとここからが長いたたかいだろう。
しかし確実に、何かが動いている気がするのだ。

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