「コンプレックスが多いんです、私。背は低いし、顔立ちだって誰もが憧れるような美人ではない。だから工夫すること、磨くこと、魅せ方について考える癖が自然と身についていたのだと思います」

そんな折、学生の頃から愛読していたファッション誌や美容雑誌から取材依頼が舞い込んだのです。もともとメイクやファッションが好きで、それは仕事というよりご褒美みたいに楽しい時間でした。日頃していることや愛用するアイテムについて読者に興味を持っていただけるとは思わず、驚きました。

コンプレックスが多いんです、私。背は低いし、顔立ちだって誰もが憧れるような美人ではない。だから工夫すること、磨くこと、魅せ方について考える癖が自然と身についていたのだと思います。低身長を活かした、バランスがよく見える着こなし、愛され顔に近づくメイク法、美肌を追究したスキンケア。

そんなことを記事にしていただくうちに、最初は2分の1ページ程度だった枠が、1ページ、見開き、特集ページと徐々に増え、ついにはカバーまでやらせていただいて。夢じゃないかと思うほど嬉しかったです。

写真に撮られる仕事のときはNGカットも含め、なるべく多くの写真を見せてもらうようにしています。わずかな口の開き、目の表情、角度によって見え方がまるで違うからです。どう撮られているのかがわからなければ工夫もできない。だから、自分の姿を客観的に捉え、媒体やテーマによって魅せ方を変えるよう努めています。読者だって、同じような写真ばかりじゃつまらないですもんね。

こうして取材をしていただくといまだに写真集を話題にしてもらうことがあって、ありがたい限りです。今もたびたび見返しては「いい写真集だなぁ」としみじみ。60万部という数字を聞いてもピンときませんが、多くの方に見ていただけたことを嬉しく思います。

カメラマン、ヘアメイク、スタイリスト、出版社の方々など、その道のプロフェッショナルの技が見事に合わさった素晴らしい作品に被写体としてかかわらせていただき、一生誇れる大切な宝物になりました。