「少しでも丸くなって世之介の優しい雰囲気を出したいと思って、現場でもずっと何か食べていたんです」(高良さん)

吉高由里子という強烈な存在

沖田 高良くんが、キャストの中で一番印象に残ってるのは誰?

高良 僕はやっぱり吉高さんですね。出会いは『蛇にピアス』でした。そこから5年ぶりぐらいの共演でしたが、2人とも真逆の役だったんです。現場にはいつも吉高さんの天真爛漫さがあって。僕はクランクインする10日前まで、『罪と罰』のドラマの現場にいました。

クランクアップした次の日にパーマをかけて、ガリガリに痩せていたのでとにかくたくさんご飯を食べました。少しでも丸くなって世之介の優しい雰囲気を出したいと思って、現場でもずっと何か食べていたんです。そのときに、なぜか吉高さんも弁当2つとか食べていたんですよね。

沖田 確かに、2人ともすごい食べてたよね。

高良 「なんでこの人まで食べているんだろう」と思っていたんですけど、プールで水着になるシーンを撮影するときに、身体が丸くなっていて、どことなくお嬢様っぽさが出ていたんです。

沖田 高良くんは役作りだと思ってたけど、吉高さんもそうだったんだね。今更知りました。でも、高良くんがパーマをあてたのも今考えたらすごい。原作の単行本の表紙だと、世之介の髪ってサラサラなんだよね。

高良 自分が当時、眉毛が見えると顔の印象が強くなるって言われて。2、3時間衣装合わせをして試行錯誤した挙句、「ここが違う!」って顔面を指さされたのを覚えています。 それでパーマで眉毛を隠そうとしたんです。

沖田 そんなこともあったね。「衣装じゃなくてそもそもそこかよ!」って。

高良 沖田さんは誰が印象に残っていますか?

沖田 やっぱり吉高さんになっちゃうな……。

高良 なんか吉高さんが気になっちゃいますよね。

沖田 吉高さんのクランクインの日が世之介とハンバーガーを食べるシーンで、控室にいる吉高さんはもう話しかけられないぐらい緊張してた。でも本番では解放されて、何も問題なかったからすごいですね。

高良 確かに、一目で「これが祥子ちゃんだ」と分かる印象的な演技でしたよね。

沖田 池松(壮亮)くんとか綾野(剛)くんとか、すごい人気者がいっぱい出ていたけれど。

高良 すぐ浮かぶのはやっぱり吉高さんですね……。

<後編につづく


横道世之介 [Blu-ray]

出演:高良健吾・吉高由里子 / 監督:沖田修一